先日、警察庁より【令和4年における警備業の概況】が発表されました。
近年の警備業界についての状況がなんとなく分かる資料ですので
私見を交えて解説していきます。
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【警備業の概況】とは
【警備業の概況】とは、警視庁生活安全企画課が毎年中旬ごろに発表する
前年の警備業界の状況をまとめた報告書になります。
警備会社で内勤として働いている方はご存じかもしれませんが
所轄の警察から年に一度、会社の状況の調査のアンケートが入ります。
【警備業の概況】はそれをまとめたものになるので
信憑性の高いデータだと思います。
警備業者数、警備員数、業界の売上規模等様々なデータが掲載されているので
昨今の経済等の状況と照らし合わせる事で、警備業界の【今】が見えてきます。
どんなことが書いてあるの?
【警備業の概況】の内容は以下の通りです。
1,警備業者等の状況
・警備業者の状況
過去5年の警備業者数の推移です。
・警備員の状況
過去5年の警備員数の推移です。
【常用・臨時】【男性・女性】【在籍年数(男女別)】【年齢(男女別)】と細かく集計されています。
・警備業者の警備員数別状況
一社当たりの在籍警備員数の集計です。
・警備業者の営業所の数別状況
一社当たり営業所をいくつ持っているかの集計です。
・警備業者の他の都道府県における警備業務実施状況
警備会社は主たる営業所がある都道府県以外に【一定期間・一定人数】の警備員を派遣する際は、
派遣先の所轄の警察署に届け出を行う必要があり、その届け出の集計です。
・警備業務の区分ごとの警備業者の状況
各警備業務区分毎の届け出のある警備業者数です。
複数業務を届け出ている会社もあります。
・機械警備業の状況
ホームセキュリティ等の機械警備業務を行う警備業者の推移です。
【基地局・対象施設数等の年別推移】【1業者あたりの状況】【即応大成の整備状況】と細かい集計がされています。
2,検定等の実施助教
・検定合格証明書の交付状況
年内に交付のあった警備業務検定の合格証明書の数です。
・警備員の検定合格証明書の保有状況
警備業務検定の合格証明書保有者の総数です。
・警備員指導教育責任者資格証の交付状況等
【年内に交付のあった資格者証の数】【資格者証保有者の総数】
【機械警備管理者資格者証の保有状況(年内の交付数・保有数)】が記載されています。
3,警備業法等違反、行政処分等の状況
・警備業法等違反検挙数の年別推移
過去5年間の警備業法違反の検挙数の推移です。
・警備業者に対する行政処分の実施状況
過去5年間の行政処分内容ごとの実施数の推移です。
・警備業者及び警備員の協力に対する表彰状況
通報や現行犯逮捕等警備員の警察活動協力に対する表彰数です。
・売上高
過去5年間の警備業界の売上の推移です。いわゆる【市場規模】というやつです。
【令和4年における警備業の概況】から分かる事
警備員の人で不足
警備業発足からすさまじい勢いで警備業者数、警備員数ともに急増していた警備業界ですが
警備業者数は+165社(1.6%)の増加に対し
警備員数に関してはここ数年、ほぼ横ばいを続けていましたが
令和4年になり一気に前年から7824人(1.3%)の減となりました。
警備の仕事をされている方は【自社の警備員が1%いなくなる】というのは
どういうことなのかよくお分かりかとおもいます。
原因は圧倒的な【警備員のなりて不足】であると思います。
令和5年5月のハローワークで発表されている職業別有効求人倍率は
警備の仕事が含まれる【保安】の項目は【6.58倍】
前年同月が【5.55倍】だったのに対し、なんと【1倍】増加しており
全職内で2位の倍率です。
【有効求人倍率】とは【求職者1名】あたり【何社が求人を出しているか】という指標です。
つまり、【警備の需要】に対し【警備員の供給】が間に合っていない、という状況が分かります。
警備員の高齢化
令和4年の警備業の概況によると65歳以上の警備員数は【192,667人】
割合としては全警備員の【33.1%】です。
令和3年が【189,212】全体の【32%】だったのに対し
【+3455人】増加率としては【1.7%】の増加になりました。
方や、他の年代はほぼ横這いでしたが、顕著に減少したのが
【30歳~39歳】の第一線で働ける年代の方でした。
令和3年は【58719人】に対し、令和4年になると【55824人】なんと【-2895人】【-4.9%】となっています。
これにより、シニア世代が活躍出来る業界である事が分かる反面
本来会社を支えていく世代の離職が顕著であるということがわかります。
今後の警備業界はどうなる?
個人的な意見として、
実際の警備の現場にいると、今回の警備業の概況にあるように
・警備業界全体の人で不足
・警備員の高齢化
・若手警備員の不足
という点はヒシヒシと感じる所があります。
恐らく各社同様に人手不足を感じている事でしょう。
そしてこの人手不足を補うために開発検討されているのが
【AIや最新技術を使った警備システム】です。
一例として
・警備ロボットを利用した巡回業務
・監視カメラとAIをリンクさせることでのモニター監視業務の効率化
・センサー内臓の看板による通行止め
・AI使用した片側交互通行システム
中には一部現場ですでに稼働している物もあります。
初期投資は高額ですが、長いスパンで見るなら警備員を依頼するより安価になる事もあります。
現場仕事だけでは無く、人員の手配や教育を行う内勤者の仕事も例外では無く
・管制システム
・Eラーニング
等、人手不足や管理要員の最小化の為の技術が増えています。
2015年の米オックスフォード大学と野村證券の試算によると
【今後10~20年で、日本の労働人口の49%が就いている仕事がAIに代替が可能】という結果が出たそうです。
その中には我々警備の仕事も含まれています。
今回の【警備員数の減少】に関して、私は【警備員のなりて不足】と前述しましたが
これがもし、AI等の活用によって【意図的に】減っていってしまっているのだとしたら
我々警備員の仕事が無くなってしまうのは間近かもしてません。
しかし、私は【ヒューマンセキュリティ】で無ければ出来ないサービスがあることを知っています。
これからはお客様に【AIの方が安いけど、警備員に来てもらった方が良い!】と言っていただける
サービスを均一に提供することが必要だと思っています。
また、そのためには警備料金の向上を警備業界全体で図り、
お客様へご理解頂く事も非常に重要なステップとなるでしょう。
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